まるすのおはなし処

お話いっぱい

デス古:お盆の花火

ノラととでノラたちは「花火を打ち上げたりすることで亡くなった人を思い出す」ということを言ってたとな、あったんよ。まとめか何かに

まあ最近?7/7は冷やし中華の日と知った

来年は古代に冷やし中華食わす

それはそうと、それ超良い題材だということで書いた。あ、長崎のどこかでもそうらしい

ま、今のうちに書くよ

 

8月15日。神奈川県、三浦。

古代進が生まれ育った場所。この日、進はアベルト・デスラーを連れて海岸に来た。

進は親友の島大介の誕生日でも予定を入れており、 先程島の誕生日会が終わり、その足でここまで来たのだ。

「よいしょ…」

「こんなにたくさん…進、手伝うよ」

「いいよ。すぐ終わるから」

「しかし、どうして…花火、なんだね?」

アベルトは問う。確かに一般的な家庭ではあまり花火を使うということは少ない。迎え火送り火共に、静かに燃やす。その問いに進が、花火のバケツに水を入れながら答える。

「うーん…綺麗ってのもあるけど、すぐにみんな来てくれそうだから。かな」

進は一本の花火をアベルトに手渡す。

「テロンの花火は初めてだから、教えてくれないか?」

「わかった。まずこの花火は…」

 

二人はしばらく手持ち花火で楽しんだ。

ふと進が空を見上げる。

「兄さん…」

進は、兄の守の事を思い出した。小さい時によく遊んでくれた兄。遊星爆弾が落とされて両親達を亡くした後、親代わりとして自分を育ててくれた兄。そして彼はイスカンダルで命を落とした。

「進…」

アベルトも、自らの過去を振り返る。

父親の生き写しだった兄を愛し、あまり自分を見てくれなかった母。そんな母に愛されながらも、自分を愛してくれた兄。父の代わりに自分達を養ってくれた偉大なる大公の叔父。戦死した幼馴染の将軍。

アベルトの目から、涙が溢れる。

「どうしたんだ?アベルト」

進が顔を覗き込んでくる。

「昔を思い出したんだ。家族のこと、エルクのこと…」

「あ…」

進は少し俯く。

「なんか…ごめん。嫌なこと思い出させたかも…」

「いや、構わないよ。しかし、家族には恵まれなかったな」

アベルトは悲しそうな顔をしていた。

花火の火が消えた。それと同時に、複数人の男の声が聞こえた。

「おーい古代ー!」

「あ、デスラーもいるぞー!」

「二人とも来いよ!打ち上げるぞー!」

彼らはこれから、打ち上げ花火を上げるようだ。

「いこう。アベルト」

「そうだね。進」

手を握り、皆のもとへ向かう。